MJの課題「小説の装画、挿絵」です。
池波正太郎の「藤枝梅安」を2種類描いてみました。
梅安のすごみを出せるよう、渋い色合い、シンプルな構成にしましたがどうでしょうか。
MJブログには装画1の赤い着物のほうがピックアップされました。
「うわ・・・」
一人が、下から喉笛を切りあげられて、刀の柄へてをかける間もなく転倒した。
(中略)
恐るべき早業といわねばならぬ。
これを、梅安と彦次郎が目撃した。
雑木林に沿った小道を曲がりかけた途端、彼方の道で、彦次郎にいわせるなら、
「ぴかっと光った・・・」
のである。
瞬間、梅安と彦次郎は身を引いて地に伏せた。
「凄い手練者だ」
と、梅安が口の中で呟いた。 池波正太郎著「梅安針供養」より抜粋
「何者じゃ」
「それが、門番へ声をかけ、手紙を門番所の窓へ差し込んだまま、姿を消してしまったと申します」
「ふむ・・・」
うなずき方がまるで男のようだ。
浅岡から受け取った件の手紙を読み、増子が、
「この手紙を読んだ者は、他におらぬか?」
念を入れた。
外見には、すこしも、あわてたところがない。
むしろ、用人の浅岡弥兵衛のほうが、
「これは、いったい、何者でありましょうか?」
微かに声がふるえ、蒼ざめていた。
「いかがいたしましょうや?」 池波正太郎著梅安針供養」より抜粋
「ま一つ、こんなものでもよければ、いっしょに箸を入れながらはなしあいましょう」
畳に分厚い桜材の板を置き、その上の焜炉に土鍋が懸っている。
ぶつ切りにした大根と油揚げの細切り、それに鶏の皮と脂身を、これも薄切りにし、薄めの出汁をたっぷり張った鍋で煮ながら食べる。
これは梅安の鍼の師匠で、いまはもう、この世の人ではない津山悦堂の好物であった。
「こりゃあ、どうも・・・」
受け皿へ取った大根を口に入れた亀右衛門が、
「うまいものでございますねえ」
「なあに、わけもないものですよ」
「ですが、大根を、こんなにして、わしは食べたことがありませんよ」
「酒もやって下さい」
では、ほんのすこし・・・」
梅安の態度に、亀右衛門は何かを直観したらしい。
池波正太郎著「梅安針供養」より抜粋
池波正太郎の小説は実はあんまり好みではなかったのですが、たまたま家にあった「梅安針供養」を読んだら意外に面白かったので、この小説を題材にして絵の練習をしてみました。
装画に、タイトルをデザイン・レイアウトをしてくれたsaseさん、お忙しい最中にやって頂きほんとにすみません。ありがとうー!!
タイトルを入れると、絵も引き立ちます!
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