時代物イラストレーション・小説装画、挿絵の練習

装画1
装画1
装画2
装画2

MJの課題「小説の装画、挿絵」です。

池波正太郎の「藤枝梅安」を2種類描いてみました。

梅安のすごみを出せるよう、渋い色合い、シンプルな構成にしましたがどうでしょうか。

MJブログには装画1の赤い着物のほうがピックアップされました。

挿絵1
挿絵1

「うわ・・・」

一人が、下から喉笛を切りあげられて、刀の柄へてをかける間もなく転倒した。

(中略)

恐るべき早業といわねばならぬ。

これを、梅安と彦次郎が目撃した。

雑木林に沿った小道を曲がりかけた途端、彼方の道で、彦次郎にいわせるなら、

「ぴかっと光った・・・」

のである。

瞬間、梅安と彦次郎は身を引いて地に伏せた。

「凄い手練者だ」

と、梅安が口の中で呟いた。      池波正太郎著「梅安針供養」より抜粋

挿絵2
挿絵2

「何者じゃ」

「それが、門番へ声をかけ、手紙を門番所の窓へ差し込んだまま、姿を消してしまったと申します」

「ふむ・・・」

うなずき方がまるで男のようだ。

浅岡から受け取った件の手紙を読み、増子が、

「この手紙を読んだ者は、他におらぬか?」

念を入れた。

外見には、すこしも、あわてたところがない。

むしろ、用人の浅岡弥兵衛のほうが、

「これは、いったい、何者でありましょうか?」

微かに声がふるえ、蒼ざめていた。

「いかがいたしましょうや?」       池波正太郎著梅安針供養」より抜粋

挿絵3
挿絵3

「ま一つ、こんなものでもよければ、いっしょに箸を入れながらはなしあいましょう」

畳に分厚い桜材の板を置き、その上の焜炉に土鍋が懸っている。

ぶつ切りにした大根と油揚げの細切り、それに鶏の皮と脂身を、これも薄切りにし、薄めの出汁をたっぷり張った鍋で煮ながら食べる。

これは梅安の鍼の師匠で、いまはもう、この世の人ではない津山悦堂の好物であった。

「こりゃあ、どうも・・・」

受け皿へ取った大根を口に入れた亀右衛門が、

「うまいものでございますねえ」

「なあに、わけもないものですよ」

「ですが、大根を、こんなにして、わしは食べたことがありませんよ」

「酒もやって下さい」

では、ほんのすこし・・・」

梅安の態度に、亀右衛門は何かを直観したらしい。

                    池波正太郎著「梅安針供養」より抜粋

 

 

池波正太郎の小説は実はあんまり好みではなかったのですが、たまたま家にあった「梅安針供養」を読んだら意外に面白かったので、この小説を題材にして絵の練習をしてみました。

装画に、タイトルをデザイン・レイアウトをしてくれたsaseさん、お忙しい最中にやって頂きほんとにすみません。ありがとうー!!

タイトルを入れると、絵も引き立ちます!